つばめ学院塾長に聞く、教育とコミュニケーションの秘訣

執筆者 | 23年10月25日 | インタビュー, 和光市広沢エリアマネジメント広報部

こちらは、和光市広沢複合施設「わぴあ」のnoteにて掲載されているインタビュー記事になります。

―――自己紹介をお願いいたします。

関口良孝と申します。東京都北区の出身で、現在は和光市に住んでいます。普段は、つばめ学院の代表取締役塾長で塾の経営を行っています。つばめ学院では、生徒が自律的に学ぶ姿勢を大切にしながら、正々堂々と社会に参画できる人材の育成を目指しています。

―――つばめ学院を設立した背景やどういった経緯で今に至っていますか。

私は元々、物理学者になりたくて物理学者に憧れて大学院まで行きました。しかし、知れば知るほど学者の世界と自分が考えている学者の世界が異なることがわかりました。

実力主義ではなく年功序列が厳しい世界であることや、30歳を過ぎても定職に就けない可能性もあり、色々と悩んだ結果、物理学者になる夢を諦めました。

せっかく物理学者を諦めるのならば、物理学者と全く異なることをやろうと考え、IT会社に入り、5年間プログラムを組んだり設計したりしていました。

その後、経営コンサルティング会社に転職し、5年間勤めました。コンサルティング会社の時に、教育に関心のある方が集まって話す機会があり、その時に教育に興味を持ちました。当時の職場には独立する方も多く、私自身、最終的に独立して学習塾を始めることにしました。学習塾に意外とハマってしまって、来年10周年を迎えます。

―――来年10周年を迎えるとのことですが、これまでを振り返っていかがですか。

私は当初、塾の仕事・役目は勉強を教えることだと思っていました。しかし今は多くの生徒とコミュニケーションを図る中で、勉強が嫌い人もいることを知りました。「勉強をやろうかな」と腰を上げてもらえるようにすることが必要であると思っています。学習塾を設立した時と、今の仕事では全く違う仕事をしているように感じます。

現在、大学生の講師が6人いるのですが、講師の皆には、生徒の話をよく聞いてもらうようにしています。

それだけでなく、塾に来て、「こんにちは」の次にどんな言葉をかけると、生徒は話したいと思ってくれるのかを意識してもらうようにしています。例えば、週末にサッカーの試合があった時に「勝った?」と聞くことで、生徒は試合があるたびに、「先生がまた試合のことを聞いてくるだろうな」と思い、自然と話しやすくなってくると思います。

また、教育教材も徐々に良くなり今は動画のシステムを入れているので、やる気があって、ちゃんとやれば成績は自ずと上がってくると思います。 昔は、「勉強をやるとこういう時に役立つぞ」であったり、「こうやったら成績が上がるぞ」など、勉強のやる気が上がるような話をしていたのですが、そこまでせずとも生徒の話を聞いてみると、モチベーションが自然に上がっていることも感じ、面白いなと今では思っています。

―――生徒とのコミュニケーションの図り方について、詳しく教えてください。

そうですね。自分自身の経歴もあると思うのですが、コンサル業界にいた時は、モチベーションが高く、かなり頭のいい人ばっかりだったので、それが世界の全てであると思っていました。話せばわかるし、言ったことを覚えているし、何か聞いたら考えて答えを出してもらっていました。

しかし、小学生や中学生は「勉強したくない」と嫌々塾に来る子もいますし、最初は衝撃的でした。学習塾は「勉強が嫌いな子が来るところ」とも思いましたし、やらせてあげることや勉強をする仕組み、場所をつくってあげることが必要だと考えます。

塾に行くと、「何か素敵なことを教わります」「大変わかりやすい授業を受けられます」というよりは、毎週塾に行って勉強したり、塾で課された宿題を毎週したりといった強制力の箱であるとも思っています。

今の時代の子たちは、嫌なことはせずに自分たちがやりたいことができるので、一昔前のやりたくないことを嫌々やるという経験をすることが少ないと思っています。

当時の学校の先生は、言うことを聞かないと手が出ることあったので、私自身納得していなかったこともあり、渋々言うことを聞いていたような気がします。 そんな経験があったからこそ「今の自分があるな」と感じることがいくつかあります。

―――小学生、中学生、高校生で話しかける内容などは同じですか。それとも、学年などによって、話す内容は変えているのですか。

授業自体が、学年バラバラで小学生と中学生が混ざっているクラスもありますし、同じことを話すこともあります。夕方は、小学生が授業を受けていますが、夜になると高校生が授業を受けるので、学年によって異なる話をすることもあります。

私自身元々、学者になりたかったこともあって、わからない話を聞いた時に全然わからないけど、すごいと感じることがすごく好きなので、同じように生徒たちに話をしています。

―――苦労をすることの必要性について、どのようにお考えですか。

苦労でいうと、何でもいいと思っています。私もこれまで苦労してきた人生だと思うのですが、あくまでも私の意見ですが、苦労ができない大人は幸せになれないと思っています。

受験勉強や宿題なども同じだと思うのですが、体力がある若いうちに、そして幸せになるためにも若いうちから苦労することも大切だと思います。入塾をさせたいご両親の中でも若い時に色々な苦労をされ、自分の子どもにも同じように苦労をさせておきたいという方もいらっしゃいますね。

―――関口さんご自身や関口さんが考えるつばめ学院の今後の展望についてお聞かせください。

できれば、もう少し大きい場所に移転して、より多くの生徒をお迎えできればいいなと思っています。 コミュニケーションやモチベーションをあげることの体系・仕組みづくりはある程度、これまでの塾経営の中で確立できてきたのではないかと思います。

なので、生徒と円滑なコミュニケーションを図ったり、モチベーションを上げたりするために講師がかける言葉のマニュアルのようなものも少しずつ作っていきたいと思います。そのマニュアルが、他の塾を経営している方にも共有できると面白い塾が増えてくると思っています。

参加者の方からも質問をいただきました。

―――3歳と5歳の娘がいるのですが、男女で勉強の教え方の違いがあるのか、また、どのくらいの時期から塾に通い始めるのがベストですか。

それぞれ違いはあるかと思いますが、中学生の男の子と女の子を比べると、中身の成長具合が全く違うと思います。身長が伸びるのと同じように、女の子は中学生の早い段階で成熟していくのですが、男の子だと中学3年生〜高校1年生のタイミングで成熟してくるように思います。

勉強を始めるタイミングについては、どこを目指すかによって変わってくると思いますが、低学年の時は見てあげられる時間があれば、親御さんがより関心をもって、そして、寄り添って勉強を見てあげることが大切だと思います。子供は親がそばで見ているだけでも勉強するのではないかと思います。

関口さんのお話を伺い、勉強することの意味、拡がっていく自分自身の可能性、そして、人生における幸福度の向上に繋がっていくことを改めて実感することが出来ました。社会人になり、勉強をする時間がなかなか取れていませんが、少しずつ自己研鑽に励んでいきたいと思います。関口さん、ありがとうございました。

(制作:わぴあ広報担当 谷田貝)