——-田中社長の自己紹介をお願いします。
株式会社田中工務店 代表取締役の田中です。
和光市に関係していることでいうと和光市の親善大使となっている和光太鼓の会長もしております。和光太鼓は、発起人でもあり、現在で48年目になりますね。
——-株式会社田中工務店について教えてください。
株式会社田中工務店については、木造住宅、鉄筋コンクリートマンションなど様々な建物を作っています。本格的な職人たちが揃っているので、高品質住宅、都市型住宅だけでなく、日本伝統の建築工法による入母屋住宅・神社仏閣も数多く手掛けさせていただいていますね。
また、テレビでおなじみの『大改造!劇的ビフォーアフター』にも協力させていただいております。今もそしてこれからも日本伝統建築を継承しながら、様変わりする時代に合わせ、お客様と一緒に建物造りに取り組み続けてまいります。
また、少し変わった仕事でいうと、世界的に有名な前衛芸術家である草間彌生さんの作品制作協力にも携わらせていただいています。さらに、和光市広沢に新たにオープンした「わぴあ」でもお仕事をさせていただきました。
——-和光太鼓について詳しく教えてください。
国内いくつかのチームの指導と立教大学の太鼓チームを発足時からお手伝いをしています。立教大学では、太鼓クラブを6年前に作りまして、新座キャンパスで活動していますね。お稽古については、出来る限り出向いて、指導しています。
それと同時に和太鼓学習ということで特別講師として、授業を受け持っています。2単位取れる授業で1400分ですね。授業の1時限が100分ですので、14時限分を受け持っています。集中型として、4日間で実施させていただいています。23名の学生が受講し、和太鼓の歴史から実技までをやっています。
受講後に実施したアンケートでは、学生から「和太鼓に触れたことによって、新たな経験ができました」というような感想もいただきました。
——- 世界的に有名な前衛芸術家である草間彌生さんの作品制作協力についてエピソードなどあれば教えてください。
草間さんとの出会いは、23年ほど前、鹿児島県霧島高原に県立美術館がオープンする時です。
草間さんから美術館のモニュメントとして飾る作品の制作依頼がありました。なぜかというと、田中工務店を良く知る人と草間彌生さんのスタッフが、知り合い同士であり、それがご縁となり、依頼をいただく運びとなったわけです。
これが最初の出会いでした。それからその都度、草間さんの作品制作に協力するという立ち位置で現在に至るまでやらせていただいています。活動範囲は国内だけでなく、アメリカ本土、ハワイ、東南アジア、ヨーロッパまで広がっています。
草間さんとのエピソードはたくさんあるんですけども、エピソードというよりは思い出になりますが、草間さんの作品お披露目会、発表会や祝賀会開催の際に、僕たちを呼んでくれて、紹介していただけるんですよ。とてもありがたい思い出が多く、感謝の気持ちです。
——-草間さんの作品制作の中で一番印象に残っていることは何ですか。
草間さんの作品を海外に輸送するんですけど、梱包を外して、作品を見たときの皆さんの感激している様子がすごかったですね。期待に応えられたような実感でした。
また、何年か前にルイ・ヴィトンとコラボをしたんですけども、当時588店舗の路面店が世界中にあるルイ・ヴィトンの全店で、頭から足までの作品、10数点のコラボ商品を販売したんですが、即完売でした。改めて、草間さんの影響力を感じました。
——-わぴあとの関わりとして、総合児童センターの2階に飾ってある 画家 三栖 右嗣氏のモザイクアート復元にあたり「工夫したこと・苦労したこと」について教えてください。
モザイクアートのような古い絵ですと、糊でついているものですから、劣化してくると非常に剥がれやすいんです。結構剥がれていたり、壊れていたりしていたんですよね。実際、その剥がれたタイルはあるのか?(実際のところ)ない、ってなりました。そこで質感などを損なわないで復元するところが苦労しました。まずは、工場へ持ち込み、修理部分のタイルを補っていくことが大変でした。形を切ったり削ったり、元々貼ってあったタイルを想像しながら補修しました。期間も3ヶ月ぐらいかかりましたね。
完成して、落成イベントの際には、参加者が絵の周りに木を張ったりして、絵を盛り上げる額縁が出来上がりました。参加した方々も良い思い出になったと思いますし、また、喜びを感じていただけたと思います。
——-他に、わぴあとはどのような関わりがありますか。
わぴあ全体工事の中で、広沢小学校のプールの解体、校庭整備、敷地内の緑化、樹木の植栽等をやらせてもらいました。おふろの王様和光店の1階には診療所も作らせていただきました。
——-わぴあには、*コレクティブインパクトの地元企業として関わっておりますが、どのような思いで参画されていますか。
私は、この土地に生まれて、育ってきて、和光市をずっと見てきました。そこで和光市として、「特色というか、もう少し何かあっても良いんじゃないかな」と常日頃思っている中で、この*PFIの話をもってきていただきました。「こういうのが新しく和光市にできて良いな」と、もう本当にそれが商売としての感覚ではなく、和光市に特色が付くことに対してすごく喜びがあり、そんなところから携わりたいと思い、参加しました。
——-「わぴあ」は和光市初の公民連携事業ですが、公民連携についてどのように思いますか?
目的や場所が、利用者や和光市にとって良いことであれば大賛成です。事業主の利益だけを求めるのであれば、矛盾が出てしまうと思いますね。
事業依頼者と事業引受者ともに、社会貢献のような考え方がないと、こういったPFI事業は難しいと感じています。だからこそ公民連携事業の中でも、力関係を対等に保つことは大切だと思います。
——-最後に、市民の方へメッセージをお願いします。
昔から住んでいる方々、新たに住んでいただいている方々が「交通の便が良い和光市」、「地理的な便が良い和光市」と感じるだけでなく、商業などを含め、外から和光市に訪れてくれる人が増えるような良いまちになってほしいと思います。
皆さんのご意見や様々なご要望を取り入れられるよう行政とともに、良い形にしていきたいなと思います。また、市民ひとりひとりの和光市への想いが強くなってほしいと思いますし、そのためには行政側が目的・目標を持って、進めていただけることを願っております。
*コレクティブインパクト・リスト
行政や企業、NPOや自治体などの参加者(プレイヤー)がそれぞれのくくりを超えて協働し、さまざまな社会課題の解決に取り組むことで集合的(Collective)なインパクトを最大化すること、あるいはその枠組みを実現するためのアプローチ
* PFI
公共施設の計画や運営を民間企業に任せる公共事業の手法。PFIが推進されることで、国や地方公共団体の事業コストの削減、より質の高い公共サービスの提供などを実現できる。