スーツ 小松裕介さん

執筆者 | 20年10月23日 | インタビュー

広沢複合施設整備・運営事業
民間事業者(5)構成員
株式会社スーツ 小松 裕介さん

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—— 会社の紹介をお願いします。

 株式会社スーツと申します。当社は、いわゆる経営コンサルティング会社で、主力の事業は、中小企業やスタートアップ企業に対して経営支援を行っています。一般的に、経営コンサルティングというと、経営戦略の立案など計画の策定を行うことが仕事で、その計画の実行はクライアント企業が行います。しかしながら、私たちは、大企業と違って組織がしっかりしておらず、人材スキルも足りていない実行力の弱い中小企業やスタートアップなどをお客様にしています。そのため、当社の経営支援では、戦略の立案や計画の策定に留まるものではなく、実行の支援までワンストップで提供しているところに特徴があります。
 他にも、今回の和光市のPFI/PPP案件のような公民連携事業、ソーシャルビジネス事業、そして、国家的なスポーツイベントや博覧会関連などを手掛けさせていただいております。

——自己紹介をお願いします。

 スーツの代表取締役の小松と申します。若かりし頃は、静岡県伊東市にある伊豆シャボテン公園グループの企業再生を行ったり、上場会社の代表取締役社長に就いたりするなどしてきました。
 昨今では、先ほどご紹介した伊豆シャボテン公園グループが、動物園・植物園・アトラクション施設・ドライブイン・ダイビングセンターなどの複数のレジャー施設を運営する、静岡県を代表する観光施設だったためか、内閣府や総務省から地方創生や地域の活性化の肩書もいただいて活動しています。

—— 和光市広沢PFIにおける役割を教えてください。

 当社の役割は、民間マネジメント業務になります。本事業は、設計・建設・維持管理・運営・民間マネジメントなどの多岐にわたる業務があり、複数の民間事業者が分担して業務にあたってまいります。その中でも、私たちが担当する民間マネジメント業務とは、分かりやすく言うと、本事業で新たに建設される複合施設だけでなく、複合施設のある和光市広沢地区全体の運営をさせていただきます。具体的には、各施設の運営責任者の意見調整をしたり、地域全体のルール策定をしたり、エリア全体を盛り上げるためのイベントを実施したり、広報活動をしたり、ネーミングライツを募集したり・・・と様々な業務があります。
 なお、以前インタビューがありました民間事業者のパートナーズワンさんとは一部、この民間マネジメント業務でご一緒させていただくことになっています。

—— その業務のポイント、乗り越えるべきポイントについて教えてください。また、御社の強みはどのように活かされるのでしょうか?

 民間マネジメント業務のポイントは、やはり多くの人々とのコミュニケーションだと考えています。堅い言葉で言うと「広聴」ですね。これは施設運営をする民間事業者のみらず、利用者の皆さん。それこそ、小さなお子さんからお年寄りの方まで、幅広い方々の声を拾い上げていきたいと考えています。今回、新たな施設を多くの人に利用していただいて、特に「共に創っていく施設」を目指すからには、多くの人の声を聞かねば始まらないと考えています。
 当社の強みですが、一般的にビジネスの世界でよく言われる経営コンサルティング会社の強みであるロジカル・シンキング、当社の特徴である経営支援で日ごろから意識している現場重視の姿勢・行動などもありますが、ここではテクノロジーなど最先端の情報を持っていることを強調して申し上げたいと思います。
 これは、行政・民間事業者問わずだと思いますが、昨今、デジタル・トランスフォーメーション(ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるという考え。)の重要性が言われています。もちろんお年寄りなどデジタル機器に慣れていない方もいらっしゃいますので、今までのやりかたを全て辞めたり捨てたりするということではありません。しかし、21世紀も約四半世紀が経過して、人工知能などの進化も目覚ましい状況ですので、このあたりのテクノロジーをしっかりと情報収集して、民間マネジメント業務に活かしていきたいと考えています。
 デジタルテクノロジーによる利便性の向上が進めば、施設は快適にご利用いただけますし、市民参画も簡単にできるようになります。何より施設をより多くの人にご利用いただくチャンスを創出できると考えています。

—— なぜ和光市広沢PFIに応募しようと考えたのでしょうか?

 和光市広沢PFIですが、募集段階で、公共性を維持しつつも、民間事業者の自由度が高いというところに特徴がありました。これは公民連携では、非常に先進的な取り組みで、そこに魅力を感じました。特に民間マネジメントの箇所は、建物を建てること自体が目的となってしまうようなことにはしたくない、「『”箱モノ”』にはしないぞ!」という強い意志を読み取っています。和光市の担当部署である資産戦略課の皆さんの努力があって実現した案件かと思います。
 また、和光市の持つポテンシャルも魅力でした。何と言っても、東京から近く、人口も減らない。先日も新しく駅ビルができましたが、非常に高い可能性があると、多くの人が考えていると思います。それに和光市の松本市長も先進的な取り組みを次々と発表されておりますし、市役所の担当部署の皆さんのスキルやモチベーションも高く、公民連携として、民間事業者が一緒にやるには理想的かと考えています。

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—— 和光市広沢PFIにおいて、具体的に、業務を通じて、どのような施設を目指すのでしょうか?

 先ほどのとおり、私たちの業務は、民間マネジメント業務です。この業務を通じて、施設の「にぎわい」を創っていきたいと考えています。
 よちよち歩きの赤ちゃんとお母さん、テレワークをするビジネスマン、ゴミ拾いをする中学生とお父さん、ゲームをする高校生、ママ友の集まり、散歩をするおじいさんやおばあさんなど、子どもから大人までが、みんなが安心、快適で、楽しく施設を使ってもらいたいと考えています。
 そのうえで、この施設で、友達ができたり、新しいことを学べたり、新しい趣味ができたりと、新しいコミュニティが生まれていって、多くの人に愛される施設にしていきたいと思います。この施設を通じて、みんなで和光市の明日を創っていければと考えています。

—— 市民の方へのメッセージをお願いします。

 和光市広沢地区に新しい複合施設ができます。和光市の市役所の皆さんもそうですが、民間事業者一同も一生懸命になって良い施設にしたいとがんばっております。もしよろしければ一度、足を運んでもらえればと思います。
どんなに新しい施設を建設しても、時間が経過すれば、すぐに古くなってしまいます。やはり大事なことは、利用してもらうこと、使ってもらうことです。多くの人に利用してもらえれば、そこで新しいコミュニティが生まれます。私たちとしては特にそのお手伝いをしたいと考えています。市民の皆さんは、利用者であると同時に、主体的な参加者にもなれるのです。この新しい施設を、和光市民の方々一人一人、存分に使ってもらって、自分の施設のように感じていってもらえればと思います。楽しみにしていてください!

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(聞き手:一般社団法人和光市広沢エリアマネジメント 理事 浅利 睦男)