地域の人を巻き込んで、一緒に地域を盛り上げていきたい/わぴあ夏まつり共催 パートナーズ・ワン株式会社 福士さんインタビュー

執筆者 | 22年08月02日 | インタビュー, 和光市広沢エリアマネジメント広報部

こんにちは!埼玉県・和光市の市民ライター土井歩惟です。

今回は、2022年8月7日(日)に開催予定の「わぴあ夏まつり」の企画・運営をされているパートナーズ・ワン株式会社の福士さんにお話を伺います。

*マママルシェのボランティアメンバーでもある筆者は、過去2回のイベントで福士さんにはお世話になっており、今回も夏まつりのボランティアメンバーとして一緒に活動をしています。マママルシェや夏まつりといった、わぴあで開催されるイベントの持つ意味について、大変勉強になるお話を伺うことが出来ました。

*マママルシェ:2021年12月から、わぴあで開催されているイベント。服の交換会やワークショップを実施している。

—–改めて、福士さんの仕事について教えていただけますか。

わぴあのこの事業で言えば、2018年に和光市の方から「こういう事業をやってくれる民間企業はありませんか?」と公募があったんです。*PFI事業って言うんですけど。

簡単に言うと、これまで地方自治体が直接行ってきた事業などを、民間が設計・建設・維持管理・運営を含めて包括的に事業を実施するというものです。それに手を挙げて今に至ります。PFIのさらに広い括りで*PPP事業というのがあるんですけど、地方自治体などと連携しながら公共施設の運営をするということを、弊社の主な業務としてやっています。

*PFI事業:Private Finance Initiative 公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う新しい手法のこと

*PPP事業:Public Private Partnership 公民が連携して公共サービスの提供を行うスキームのこと。PFIは、PPPの代表的な手法の一つ

公募されるPFI事業は、建物の設計があって、建設があって、運営があって、維持管理があって、と非常に業務の内容が多岐にわたることが多いんです。それを1社でやることは困難なので、PFI事業に応募するには、民間企業でグループを組成するんです。その組成されたグループの中の1社が私のいる会社です。グループとして和光市に応募して、他の民間企業グループと提案で競い、どのグループが優れているかを決めてもらったということです。

—–なるほど。マママルシェや夏まつりといったイベントで賑わいを創出して、設計から関わったこのエリアを盛り上げていくっていうことなんですね。

この和光市で言えば、「民間マネジメント業務」っていう名前なんですけど、その業務の中身の一つとして、こういうマルシェやお祭りなどの企画運営をしています。

—–ということは、こういうことが全国各地、様々なところで行われていて、福士さんの会社は色んなところで携わっている。その中で福士さんは和光市の担当ということなんでしょうか?

そうですね。他の地方自治体でも類似の事業に取り組んだりもしています。

市民の方々と一緒になって、まちづくりや賑わいの創出をやるっていうのが、私たちの目的の一つなんです。

地域の方々がやりたいことを実現するお手伝いがしたい

—–夏まつりを開催するきっかけについて教えていただけますか。

コンペの段階で、我々民間企業グループは和光市に対して提案を出していますが、その中の一つに施設全体のお祭りをやります!っていうのは、その時点から計画はしていましたね。それが通って、じゃあどんなのをやりますか?と、今年くらいから具体的に話をして、夏まつりをやってみようということになったわけです。

—–マママルシェや夏まつりといったイベントは、どのような想いでやっているんですか?

僕の役割を端的に言えば、地域の人を巻き込んで、一緒に地域を盛り上げていくっていうことなんです。イベントのやり方にも色々あって、単純にイベント的なものを外から引っ張って来て、そのイベント目当てにお客さんが来て、「ああ、楽しいね」っていうイベントもあると思うんですけど、僕がやろうとしているのはそういうのではなくて、地域の人たちと一緒にやることが重要なんですよ。

一緒にやって、その地域の人たちが、自分たちが楽しいって思ってくれて初めて継続的に一緒に企画をやってもらえるわけじゃないですか。だから「お客さん」じゃないんですよ、一緒にやる側だから。一緒にやる側の地域の人たちに、いかに楽しいって思ってもらえるかが非常に重要で。

じゃあイベントやるにしても、地域の人たちが何を楽しいと思ってくれるかって、実は分からない、やってみないと分からないんですよ。施設の運営が始まる前から、地域の人たちを巻き込んで賑わいを創出するっていうことは決まってましたけど、じゃあ具体的に何をやるかっていうのは、地域の人たちとやってみないと分からなかったですね。

—–なるほど。

マママルシェの一番最初の打合せにいらっしゃいましたよね?あのとき、僕はひしひしと皆さんからの空気感を感じたんですけど、「マルシェではこういうことやりますから、皆さんこういうこと手伝ってください」ってことを言われるんだろうな、と思いながら参加された人が結構多かったと思います。

ですが、僕が最初に言ったのは「はい、みんなでやりたい事を一緒に考えましょう」だったから、皆さん面くらって「え?これから考えるんですか?」みたいな感じになりましたよね。まあ、そうだよなとも思いながら「そうです、考えましょう」と言ったのを覚えています。

『これをやるから』って、それを皆さんに押し付けて、「ボランティアの方々、手伝ってください」っていうんじゃなくて、僕がやりたい、目指しているのは、皆さんがやりたいことをやったら皆さんが楽しいじゃないですか。だから、それを継続的に考えてやっていきましょうっていうことがやりたいんです。

皆さんの声を聞かないと。皆さん側も当然、やってみて「これが良かった」「これが悪かった」「こうしたほうがもっと楽しい」「こういうのもやってみたい」っていうのが出てくると思うので、それを如何にどう具体的に取り入れるかっていうところをサポートしている感じですね。

—–なるほど。ということは、ボランティアメンバーとの関わりでは、こちらの想いを引き出すことを大事にされているということですね。

そうです、そうです。それが無いとダメですね。皆さんが「楽しい」「満足出来た」いうのがあって初めて成功と言えます。皆さんの貴重な時間を割いていただいて一緒に活動しているわけですから、皆さんが楽しくて満足しなければ継続しないと思います。私は、皆さんが楽しいと思うことを一緒に楽しんでやりたいと思っています。

—–ボランティアメンバーと関わっている中で嬉しかったことを教えてください。

まだ1年目ですが、今のところ一番印象に残っているのは、12月にマママルシェの1回目をやって、終わったときに皆さんが満足してくれてた感じがあったのは嬉しかったですね。やっぱり一番最初が一番大変なんです。メンバーの皆さんもそうだったと思いますが、私自身もどんなイベントになるんだろうか、という少し不安な思いはありました。結果的にある程度うまくいって、撤収が終わった後のメンバーの皆さんの笑顔が見られて良かったと思っています。

—–複数のエリアで色々やられてると思うんですけど、和光市ならではの特徴って何かありますか?

和光市で、マママルシェのメンバーの皆さまも含めて見ていて思ったのは、何らかの活動をすることに意欲的な方は結構いらっしゃるなと思いました。ただ、そういう意欲的な方が、まだ実際に活動出来る場所や土壌を見つけられておらず、活動はできていない。そういう方々が結構多くいらっしゃるような気はなんとなくしています。

—–とてもよく分かります。わたしも、これまで和光市に5年くらい住んでいるんですけど、最初の数年間って、会社に通って帰ってきてただ寝るだけのまちだったんです。地域で暮らしてるっていう感じがあまり無かったと思うんですよ。多分、そういう方って多いんじゃないかと思います。

でも実際は、こういうことやりますよ、っていうのがもし分かったら、時間的な余裕さえあればやってみたいっていう方は結構いるんじゃないかと思います。

—–次の課題は、そういう人たちにどうアプローチしていくかですね。

今回、夏まつりで色々とやろうとは思いますけど、そもそも、この場所ってこういうことやっても良いのか?ってこと自体、まだ施設が出来たばっかりですし、知らないと思うんですよね。じゃあここでステージ組んで発表するだとか、キッチンカーが来てここで飲食できるっていうことだとか、ある程度、我々事業者側が実際やってそれを皆さんに見ていただいて、知ってもらうことで、もう少しこの場所の周知が進んでいって、今度は市民の皆さんからの「こういう風な使い方がしたいのだけどできないかしら」みたいなことに発展していければと思っています。

—–わたしもその一翼を担いたいと思いつつ、出来るかなあ?という感じです。

良いんですよ。出来る範囲で良いんです。無理すると、辛くなってきちゃうんで。辛くなると楽しくないから、だから、ゆるいくらいがちょうど良いんです。ちょっとこれキツイなと思いながらやると、負担になっちゃうんで。

夏まつりの打ち合わせの様子

イベントを通して、わぴあがどんな場所なのか知ってもらいたい

—–夏まつりをこんなイベントにしたい!という目標はありますか?

当たり前ですけど、事故無く安全に楽しんでいただくっていうのが、一つ大事なことです。あとはイベント自体を楽しんでほしいな、っていうのはありますけど、さっきの話とも被りますけど、このエリアのこと、このエリアでどんなことが出来るのかっていうことをもっと皆さんに知ってもらいたい。その先に、皆さんがやりたいことを掘り起こして、我々も一緒に取り組めるようなきっかけとなれば良いなと考えています。

例えば、ステージの出演者の方々が今回いらっしゃいますけど、出演した団体さんが、今度ダンスなどの発表する場を探すときにわぴあでやってみたらどうだろう?とか、我々事業者が企画するだけではなくて、皆さんのほうでやりたいものをここで実現出来る、そういうことを知るきっかけになれれば良いかな、と思っています。

—–最後に、こんな方にぜひ来て欲しい、というお客さんへのメッセージをお願いします。

わぴあの近くに普段あまりいらっしゃらないような方も、こういうイベントであれば足を運んでいただけるかもしれないので、これまで、あまりわぴあに馴染みのない方も足を運んで、「ああ、こういう施設があるんだ」「こういう場所があるんだ」っていう風に思っていただけるだけでも、まずは嬉しいですね。

今後も同様のイベントは開催していくでしょうし、和光市の一つの定着イベントとしてやっていける感じになればと思っています。ぜひ普段いらっしゃらない方も、わぴあ夏まつりにお越しいただいて、わぴあを知っていただければと思います。

—–最後に、言い残したことは無いですか?

夏まつり当日は、皆さんが過ごしやすいようにあまり暑くないと良いな(笑)。ちょうど良い気候だと有難いですね。

—–天気は祈るしかないですね。 

多分、晴れますけどね!

これまで、福士さんとはマママルシェの企画や準備で一緒に活動してきましたが、今回お話を伺って、改めて福士さんのお仕事を理解することが出来ました。

また、我々市民がどうすれば楽しめるのかに耳を傾け、動いてくださっていることを知り、感謝の気持ちが芽生えました。夏まつりの準備でお忙しい中、どうもありがとうございました!

わぴあ夏まつり2022